病院で働く管理栄養士のブログ。気ままに更新中。

【栄養指導スキルUP!】食事エネルギー(カロリー)の推定方法

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今回のテーマは、栄養指導で使える食事のエネルギー推定方法です。

新人栄養士

栄養士だけど、食事のエネルギーを推定するのが苦手。
栄養指導でも使えるエネルギー計算方法が知りたい!

と困っていませんか?

私の場合、職場の人とご飯に行くと決まって

「栄養士だから、カロリーとか糖質とかすぐわかるんでしょ?」とか

「これ全部食べたら何キロカロリー?」とか

聞かれてきました。

正直、

あまり自信ないから聞かないで…………( ◜ᴗ◝ ;;)

と思うのは、私だけでしょうか。

エネルギー推定なんて、学生の時に特別教わった記憶もないし、苦手とする栄養士もきっと多いはず…!

就職先によっては、新卒でも就職間もないうちにいきなり栄養指導デビューすることも。

栄養指導中は患者さんとお話ししつつ、聞き取った内容や食事記録から、その場で摂取エネルギー量を推定します。

焦って計算を失敗したり、患者さんの話が入ってこなかったりと、私も新人のころは大変苦労しました。

そこで、今回は私が行っているエネルギーの推定方法(計算方法)についてご紹介します。

目次

練習編~まずは3つのコツを掴む~

最初にいっておくと、ある程度の練習は必要になります。

ポイントを押さえて計算方法をイメージしながら、効率的に練習しましょう!

エネルギー推定のためのコツ3つはこちら。

①食品の重量感覚を身につける

②『糖尿病食事療法のための食品交換表』に沿って、食事の単位数が分かるようになる

③料理単位でエネルギーを把握する

コツを掴むために必要なものがあります。

練習前に用意する3つのもの

  1. 料理用電子はかり
  2. 糖尿病食事療法のための食品交換表
  3. 外食、中食用のカロリーブック

おそらく栄養士・管理栄養士の方は、学生時代使用していたものがあると思いますので、あるものを使いましょう。

料理用電子はかり

私は学生の時に購入したタニタのクッキングスケールを今でも使っています。

1g単位まではかれるものですが、今買うなら調味料もはかれるように0.1g単位まではかれるもの購入すると思います。

糖尿病食事療法のための食品交換表

大きめの本屋に売っています。

他の本でも、80kcalの分量が写真入りで沢山掲載されているものであれば大丈夫。

自分の使いやすい、見やすい1冊を探してみましょう!

持ち運びやすい小さいサイズのものも沢山売られています。

外食、中食用のカロリーブック

外食や中食で食べた料理のエネルギーを確認する用で、これも自分の使いやすいもので大丈夫。

今はネットで検索すればほとんどの料理・食品のエネルギーは分かるため、栄養指導中にネットが使える環境でしたら必要ないです。

中食」とは、総菜やコンビニ弁当などの調理済み食品を自宅で食べること。

摂取エネルギーを推定することの注意点

他人の摂取エネルギー量を推定する注意点を幾つかお伝えします。

前提として、誤差のない摂取エネルギー量の推定はほぼ不可能ということ。

患者さんの過少・過大申告や患者さんと栄養士との間の認識のズレ、栄養士の評価により多少なりとも誤差はつきものです。

また栄養指導では、聞き取りした1食がその方の習慣的な食事とは限りません

「少なすぎ?」「多すぎ?」と思っても、それだけでその方の食生活を評価するのは危険!

聞きとりした食事に何の食品をプラス(またはマイナス)すると量やバランスが整うのかお伝えし、

体重変化や習慣的に摂取している食品なども聞き取ったりするなど、総合的に判断しましょう。

栄養指導で大切なのは、継続的に介入して、介入前の食事を修正していくことだと私は思っています。

そのことを踏まえたうえで、先にいった3つのコツについて解説します。

3つのコツ。練習方法

①食品の重量感覚を身につける

見たり聞いたりした食品の単位(大きさ)から、その食品のだいたいの重さが分かるようになりましょう

「この食品、1食分は何グラム?」

「この食品、1個(本・束・合…等)で何グラム?」

この質問に答えられるようになる必要があります。

重量感覚の習得は、エネルギー計算ができるようになるためには避けられないので、

毎日とにかく自分で食材や料理を計る、パッケージに重さが記載されているものは確認するなどして、食品の重量を徹底的に覚えましょう!

豆腐や納豆、麺などの既製品はパッケージに重量が記載されているものがほとんどなので、そのまま覚えます。

肉や魚、野菜などは、料理用の電子はかりを使って調理する前に計る習慣をつけると良いです。

実際に計るのが難しい場合は、次に紹介する『糖尿病食事療法のための食品交換表』の写真を参考にするだけでも良いです。

また、今はネットで検索すれば大体の食品は重量が出てくるのでそれを参考にしても良いです。

「寿司のシャリは一貫20gくらいなんだな。」

「鮭1切80gだとこのくらいのサイズなんだな。」

「ミニトマト1個は15g前後なんだな。」

こんな感じ、食品のサイズとはかりの数値を目に焼き付けましょう!

写真に撮ったり、ノートに記録したりすると記憶に残りやすいです。

食品の重量感覚を身につけることは、栄養士には必須のスキル。コツコツ練習して必ず習得しましょう!

糖尿病食事療法のための食品交換表に沿って食事の単位数が分かるようになる

日本糖尿病学会出版の糖尿病食事療法のための食品交換表

糖尿病の食事療法で使われますが、患者さんが使うには割とレベルが高め。

でも、栄養士のエネルギー計算には大変役に立ちます!

管理栄養士、栄養士の中には『食品成分表』でエネルギー計算をするもいらっしゃいますが、私は食品交換表派です。

食品交換表を使った方が重量感覚が苦手な人でも分かり易いと思います。

(もちろん食品成分表も栄養指導の時に横に置いておきたい1冊!)

交換表では食品1単位を80kcalと定めて、様々な食品の1単位が何グラムに相当するかが示されています。

そのため食事全体の単位数が分かれば、『〇単位×80kcal』の計算で、すぐに食事カロリーが算出できます。

「1単位を覚える必要があるならやっぱり大変では…?」と最初は思ってしまうかもしれませんが、交換表の1単位は覚えやすいものが多いのです!


例えば、

納豆はだいたい1パックが1単位。

卵は1個が1単位。

バナナは1本で1単位。など。

ひとつが1単位とされるものが、結構たくさんあります。

全ての食品を覚えるのは大変ですが、まずはよく食べる食品1単位の分量だけでも知っておくと便利です。

◆大まかな1単位(80kcal)の分量

【主食・芋など】
 ・ごはん 50g
 ・食パン 6枚切り1/2枚(30g)
 ・うどん 1/3玉(80g)
 ・じゃがいも 中 1個(110g)

【果物】
 ・バナナ 1本(100g)
 ・みかん 2個(200g)
 ・桃 1個(200g)

【魚介・大豆製品・卵・チーズ・肉】
 ・たら 大1切れ(100g)
 ・納豆 1パック(40g)
 ・卵 1個(50g)
 ・スライスチーズ1枚(20g)
 ・ひき肉(牛/豚/鶏) (40g)

【牛乳・乳製品】
 ・普通牛乳 120ml

【油類・脂質の多い種実・多脂性食品】
 ・サラダ油 大さじ1杯
 ・マヨネーズ 大さじ1杯
 ・アーモンド 約10粒(15g)
 ・ベーコン 1枚(20g)

【野菜】
 ・いろいろ取りあわせて 300g

③料理単位のエネルギーを把握する

食品交換表に載っていなくても、良く食べられている加工食品はそのまま覚えましょう。

ここで、『外食、弁当のカロリーブック』を使用します。今はネットで調べてもすぐエネルギーが確認できるので、本は買わずにネット検索して覚えても構いません。

◆外食や中食で食べるエネルギー例◆

 ・牛丼(並)(730kcal)/すき家 
 ・ハンバーガー(256kcal)/マクドナルド
 ・キャラメルフラペチーノ(トール)(302kcal)/スターバックスコーヒー

実践編

具体的に例をあげて解説します。

例えば患者さんがこのような食事記録表を書いてきたとします。

 食品分量
朝食食パン6枚切2枚
いちごジャムティースプーン2杯
牛乳コップ1杯
昼食牛丼
サラダ小鉢1杯
夕食ご飯中茶碗1杯
肉野菜炒め肉ロース
野菜
植物油
みりん・醤油

細かい量は聞き取って埋めていき、計算していきます。

食品分量単位 または エネルギー
朝食食パン6枚切2枚4(単位) ×80kcal=320kcal
いちごジャムティースプーン2杯(15g位?)0.5(単位) ×80kcal=40kcal
牛乳コップ1杯(200ml)1.7(単位) ×80kcal=136kcal
(半端なので私はいつも牛乳1杯1.5単位で計算)
昼食牛丼並盛1杯635kcal  635kcal
(吉野家のホームページより)
サラダ小鉢1個
ドレッシング(小さじ2杯位?)0.5(単位) ×80kcal=40kcal
夕食ご飯中茶碗1杯(150g位?)3(単位) ×80kcal=240kcal
肉野菜炒め肉ロース(60g位?)1.5(単位) ×80kcal=120kcal
野菜(両手1杯位)0.3(単位) ×80kcal=24kcal
みりん・醤油 各小さじ2杯位0.3(単位) ×80kcal=24kcal
植物油 小さじ2杯位0.8(単位) ×80kcal=64kcal
1日の摂取エネルギー 合計1643kcal

青字は細かく聞き取りしたあとの私の心の声。

黒太字は聞き取り中の私のメモ書きだと思ってください。

太字まで書き揃ったら、あとは計算に入ります。

すこし時間を頂いて、電卓ですぐに計算します。

この食事では1日推定1643kcalになりました。

単位が分かれば、交換表に則って、単位数に80kcalをかければ良いので簡単ですね!

また、今回の牛丼のように、外食、弁当のカロリーブックを使って料理単位でのエネルギーを把握できていれば(またはすぐに調べることが出来れば)、だいぶ時間のロスを防げます。

時短テクニック① 野菜は1日を通して十分摂れていたら1~1.2単位として計算する

糖尿病食事療法のための食品交換表では、野菜は色々とりあわせて300gで1単位としています。

野菜の1食の目安量は「生野菜なら両手1杯」「加熱後なら片手1杯」と私は考えていて、

これでだいたい野菜100g~120g分となります。

そのため、1日を通して野菜が十分摂れている(生野菜を両手3杯分摂れている)と判断したら、野菜の分は細かい計算せずに、1~1.2単位(80~96kcal)を追加するようにしています。

時短テクニック② 調味料は摂りすぎていなけらば0.8単位として計算する

糖尿病食事療法のための食品交換表では、1日あたりの調味料の目安量を0.8単位(64kcal)としています。

エネルギー量が少ない調味料である塩や醤油は単位数に含めません。

エネルギー量が高い調味料である、みそ、砂糖、ソース類、ケチャップ、はちみつ、ルウ、酒かすなどは単位数として含めます。

患者さんとお話ししていて、「薄味に努めているな」「ソースや砂糖など調味料の目立った使用はなさそう」と判断したら、思い切って調味料の細かい計算は省き、調味料分として0.8単位64kcalを追加しています。

まとめ

あとは3つのコツをマスターするべく練習するのみ。

  • 毎日とにかく自分で食品を計ること
  • 食品の栄養成分表示を確認する癖をつけること
  • 「弁当」「料理」単位でもカロリーを確認する癖をつけること

これらを日々の暮らしの中で取り入れてみてください。

エネルギー量の過不足を計算で出した数字を使ってお伝えると、患者さんが納得しやすいのは事実です。

ですが、どんなに詳細に計算しようと思っても推定値に誤差がでることはつきもの。

計算することだけに捉われず、体重変化や食事バランスなど総合的に評価していけると良いですね

※今回ご紹介した内容は、科学的根拠に基づいたものではなく、私自身が摂取エネルギー量を推定するための方法です。

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この記事を書いた人

管理栄養士歴11年目。
NST専門療法士、地域糖尿病療養指導士の資格あり。
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